平均的日本男性

暇つぶしのドキュメント

約1分で読める記事を中心に、やってみた/試してみた暇つぶしを系統別でご提案!

はじめての裁判傍聴

裁判傍聴をしたことがない

法治国家で生まれ育ってきたが、今まで「裁判」というものと縁遠い人生を送ってきた。

ある程度まっとうに生きてこられたおかげさまだ。まわりの人に感謝。

 

ただ、ずっと薄ぼんやりと「裁判傍聴をしてみたい」という思いだけはあった。小学生の頃に『逆転裁判』にハマっていたせいである。そしてせっかくならついでに法廷画も描いてみたい。

異議あり!」

 

もちろん、あんなファンタジーな裁判があるとは思っていない。サイバンチョが叩く木槌が現実の裁判では無いことも知っている。僕は現実を見れている大人なのだ。

気になるのは、どんな人が裁判で裁かれ、どんな流れで裁判が進んでいくのかということ。

 

法律という近いようで遠いような、遠いようで近いような概念が常に飛び交っている空間がそこにあると考えると興味がそそられる。しかもそれが毎日ひっきりなしに行われているわけだ。想像を絶する。

実際どんな感じなんだ?

 

 

 

裁判を見に行く動機

しかしながらやはり唐突に見に行くのも勇気がいる。

なにせ「ただその様子が気になる」という動機だけだからだ。法律を学んでいる人が勉強で、とか知り合いや有名人などが裁かれるから、とかなら強めの動機だし、それならばなんとなく許される気がする。

傍聴するのにも正当な理由が必要な気がするんだ。でないと裁判所の厳かな雰囲気にこちらが裁かれてしまう気がする。

 

自分は法律を学んでないし、有名な人の裁判は抽選とかがあると聞く。知人に「犯罪を犯したうえで裁判所で裁かれてくれ」ともお願いできない。

そんなわけで長年裁判というものと疎遠だったわけだが、実は僕にはウルトラCな選択肢が存在している。

 

 

 

それは………

 

 

 

 

 

友達に弁護士がいる

 

この選択肢、つよい(確信)

 

もし自分が誰かとトラブルを起こしたとしても「俺には弁護士の友達がいるんだぞ?」と若干ウソっぽいセリフを吐くことができる。

 

彼とは飲み屋で出会った。酒を飲めるって最高なんだ。

しかも年下のため一応敬ってくれているし、このブログも応援してくれていたりする。

 

けっこう前から彼には「裁判傍聴してみたいな~」と話していた。

すると「じゃあ僕が弁護やる時に見に来ますか?」と言う、一生で一度聞くか聞かないかレベルのセリフを返してきた。

「か、かっこいい~!♡」ってなるところだった

 

僕は二つ返事で「行く!」と回答。かくして、僕のはじめての裁判傍聴の予定が組まれたのだった。

 

 

 

はじめての裁判傍聴

裁判前日—————————

僕は描いていた。

せっかく見に行くし法廷画を描いてみたいのは前述の通りだ。そのため練習がてら模写をしてみた。

左を見ながら模写した結果が右
右奥の男性がおばさんみたいになってしまった

………僕は絵が上手い方ではないことを再確認した。

それとともに法廷絵師が神絵師であることも再認識させられた。

 

まぁいいや下手でも。“裁判傍聴をした”という証を残せればそれでいいのだ。

 

 

裁判当日。

僕は別の共通の友人と名古屋地方裁判所に向かっていた。

ここが名古屋地方裁判所名古屋城がめちゃくちゃ近い。

厳かな雰囲気がする



入り口をくぐるといきなり荷物検査がある。飛行機に乗るときと同じ感じのやつだ。

持ち込み禁止のものはここで預ける。帰るときに返してもらえるとのことで安心。

しかし、ここからすでに写真は禁止らしい。禁止なのは裁判中だけかと思ってた。

 

 

さっそく事前に聞いていた法廷の部屋に向かう、が

この時点でなにもかも未知の世界に来てしまっていて完全に気圧されていた。

きょどきょどしちゃう

 

上階に行くときすら「あっ…エレベーターなんだね…そりゃそうだよね…」みたいな感情。「厳か」だと思い込んでいるので、なぜか裁判所内の移動も「階段だろう」と思い込んでいた、いや、思い込まされていた。

 

目的の階に着いても驚きが続く。

「1フロアに付きいくつも法廷の部屋あるんだ…」

 

「法廷に入るときに手続きとかはいらないの…?」

 

「ノックとかせずに扉開けちゃっていいんですか~……?」

 

 

 

おっかなびっくりで法廷に入るとすでに被告人、弁護士(友人)、検察、裁判官が入廷していた。

まっさきに思ったのは「弁護士って向かって左にいる場合もあるんだ」ということだった。『逆転裁判』における主人公の弁護士は絶対に向かって右にいたのでこれは新しい発見だ。

ゲームでは右が弁護士のポジションだった

 

被告人の両サイドには警官がいて、手錠もかけられてるっぽかった。急に”リアル”を感じる。改めて襟を正す思いになる。

 

 

先に全体の流れをざっくり言うと、まず罪状と犯行当時のことが細かく説明される。そのあと弁護士が被告人に犯行についての質問や確認をする。次に、検察も同じく質問や確認をする。最後に裁判官も質問や確認をして判決を言い渡す。(ただし僕が見に行ったときはその場での判決言い渡しではなかったので後述)

 

 

被告人が犯した罪は万引きだった。詳しくは書けないが聞いている限りだと常習的ではあったものの、境遇とか周りの環境もあって仕方なさもあるように感じる…。

 

と、どうやらそう思うように被告人にイイ感じに質問するのが弁護士の役割のようだ。やるじゃん、弁護士(友人)

逆転裁判』のように劇的な展開はないけど、“人”の可能性や未来を信じて弁護する姿…ええやん素敵やん弁護士(友人)

そんな友人(弁護士)かつ後輩を友達に持ててぼかぁ幸せだ。

 

 

さて、そんな彼の様子を必死に法廷画に納めてみた。これが彼の勇姿だ。

似てねぇ~

むっず。法廷画むっず。時間足りないし、人が動くし。

これじゃあ彼の素敵な魅力が全然伝わらないよ。

 

 

同行してもらっている友達にも法廷画を描いてもらっていたのでそちらはどうだろうか。

構図はなんか良い

こちらは全体感は描けていたけど肝心の弁護士(友人)が描ききれていなかった。

 

ちくしょう。彼の姿を世に知らしめてやりたかったがこれが僕の限界のようだ。

 

 

そうこうしていると検察のターンも終わり、裁判官からの質問がされていた。

この段階で開廷から45分は経過していた。二、三質問と回答を終えると裁判官がおもむろに弁護士と検察に今後の予定を聞き始めた。

判決を決めきれないのかこの法廷の時間が押しているからなのか、理由は分からないがどうやら日を改めて判決を下すらしい。

 

裁「弁護人、○日の△時の予定は空いていますか?」

弁「支障ありません」

裁「検察官はいかがですか?」

 

検「その日時だと支障あります。□時以降はどうでしょうか。」



…んなんだこのやりとりっ!

そう思わざるを得なかった。裁判ってこんなにフランクに予定組んじゃっていいんだ、と。

 

その後、予定が合うことが確認され、裁判自体はそこで終了した。

 

 

 

裁判を終えて

徹頭徹尾、未知なる体験であった。

 

裁判が終わったあとも、こうなんか機械的に終了の合図があったり退出の誘導があったりするもんだと思っていたけど、わりとゆるっと終わって流れでエレベーターで降りて行ったし、なんなら弁護士(友人)もすぐ法廷から出てきて一緒にエレベーターに乗った。

 

裁判所って意外と思っていたよりは人間味があるんですね~

というのが失礼ながら僕の率直な感想だ。

そして犯罪を犯してしまった人の話を聞いていると改めて自分がどれだけ恵まれた環境にいるかということを再確認させられた。

 

「俺には弁護士の友達がいるんだぞ?」というセリフを今後吐かないためにも、これからも僕はまっとうに生きていきたい。

 

 

 

僕ら3人は裁判所をあとにして、裁判内容の感想を述べあった。

やっぱりそう思うよねってことや、あの時の質問ってこういう意図?というなかなか聞けない弁護士の本音を聞いてしまったがこれは胸の中にしまっておこう。

まぁ、弁護士だってそう、人間味があるのだ。

 

 

 

暇つぶし評価

【最大評価★5つ】

時間つぶせる度:★★★

楽しさ:★★★★⋆

実用性:★★★⋆

費用の掛からなさ:★★★★⋆

おすすめ度:★★★★

 

おわり