「覆水盆に返らず」は本当なのか?パン粉を使って抗ってみた結果…
パン粉って元々はパンだよな…?
本当に覆水は盆に返らないのか
覆水盆に返らず———
昔の人は物事を的確に捉えた言葉を多く残している。この慣用句もそのひとつで、要は一度やってしまったことは元に戻らないという意味だ。
この慣用句は感覚としてほとんどの人がわかることじゃないだろうか。人生の中で取返しのつかないことなんていくらでもある。例えば、恋愛。付き合う前の駆け引きや告白の仕方、付き合った後のやりとりなど、覆水盆に返らずな状況に陥る可能性は無数にある。仕事や勉強、それらに留まらずいつも人生は覆水盆に返らずと背中合わせと言ってもいいのかもしれない。
でも、ふと思いませんか?「本当に覆水はまったくもって盆に返らないものなのか?」と。
考えても見れば、お盆から水をこぼしてしまったとしてもどうにかリカバリーできる部分はあるはずです。なにかで掬うとか吸水するとか、手段はいろいろあるはず。確かに「元通り」とまではいかないけど、何かしらできることはあるものです。恋愛でもそう。たとえ1回の告白が上手くいかなくて元の関係性に戻れなかったとしても、可能性がまったく無くなったというわけではないやん?むしろそれに抗う姿が素晴らしかったりするわけやん。
僕は、そんな「覆水盆に返らず」とみんなが思っていることに対して真っ向から抗っていきたいと思っている。
結果は、どうなるかわからない。上に挙げた例も諦めなかったらハッピーエンドになる、と確定しているわけではない。でも、覆水をそのままにしておいたら1㎖も水は盆に戻らない。やってみることで可能性が見えてくる。
そんな気概とテーマで不可逆を覆してみたいと思う。
不可逆を、覆す…!
と、大袈裟なことを前段で書いたものの、実際のところは「パン粉が余ってるけど使い所ないから逆にパンにできないかな?」とふと思い付いただけだったりする。
しかも賞味期限が切れてたからなおのこと使い切りたいのだ。
元々はパンだったが、超細かくされて見るも無残な姿をさせられているのがパン粉だと思っている。ここまで細かくされてはまさに覆水盆に返らず。元のパンとは程遠い。
とは言え、ノーリサーチで挑むためここからはすべて勘を頼りに作っていく。なぜノーリサーチかと言うとたぶん調べても答えがないから。でも人生ってのはだいたい答えがないことだらけなのでこれくらいのチャレンジ精神で挑むくらいがちょうどいい。
まずは水。
こういう場合、全体をまとめるためにまずは水を加えておけばいいと思う。分量はよくわからないけどとりあえず100㎖とした。
次にドライイーストを加える。パンを作るには発酵が必要なはず。ちなみにこのドライイーストも余っていて、ついでに使い切りたいなと思っていたのは内緒だ。
あとは捏ねて発酵させて焼くだけだと思う。
とは言えひとまず捏ねてみるけど、生地としてまとまるのだろうかと一抹の不安がよぎっていた。パン粉はパン以上にさらっさらのぱらっぱらなイメージがあるため、水だけで繋がるのだろうか…と思っていたが、そんな不安をよそにこねこねしていたら意外と普通にひとつのまとまりになった。
ただ見た目は完全にコロッケの中身にしか見えない。パン粉からパンを作るつもりがいつの間にかコロッケを作っていたというのか。
気を取り直しつつ発酵させる。通常、発酵は40℃くらいで60分くらい熱するそうだ。とりあえずレンジでその通り発酵させてみた。
今度は掃除用スポンジみたいになった。
パン粉からパンを作ろうとしたらいつの間にか掃除用スポンジを作っていたとは…、料理ってなにが起こるか分からないものだなぁ。
掃除用スポンジのままでは食べられないし、発酵も弱い気がしたので追加で熱することにした。形を整えて容器に移しもっと長時間発酵させてみる。
この状態で陽の当たる場所に1日放置した。
結果あまり変わらないけど、気持ちだけ膨らんだような気がする。
ということで最後の工程、焼いてみた。ほんとは上の形のまま焼きたかったけど、明らかに中まで火が通らない気がしたので成型してから焼く。
パンとは程遠い姿だけど…まぁ結局のところ味だから!と自分を納得させる。視覚だけが現実ではないということを確かめていきたい。
そんなこんなで焼きあがった。
まぁ焼く前からの想像をまったく超えてこない、ある意味では期待通りの焼き上がりになった。
挑んだ結果は
割って中を見てみるとこんな感じだった。
本当に若干だけど普通のパンの繊維感?みたいなものが感じられるのが伝わるでしょうか。CMとかでよくある、パンを割くと「フヮァ」ってなるあの感じである。けっこう雑めに作ったわりには食パンの片鱗が感じ取れて良い幸先。
さて………お味の方は…
結論から申し上げると、ギリギリ食パンと言える味だった。甘酒のような風味(麹?)と塩のしょっぱみは前面で感じるけど、ホントにギリギリの土俵で食パンと言える味になっている。それはもうかなり絶妙なバランスで味を留めている。あれかな?やっぱり揚げ物に合うような味付けがされてるのかな?
ギリ食パンだけどしょっぱみと甘酒風味があるということで、これを活かすためにもう一枚の方でピザパンも作ってみた。しょっぱさとかがピザの味とマッチするのではなかろうか。
と、思って食べてみたけどなぜか味を感じなかった…。なんというかこちらもまた絶妙なバランスによって、寸分の狂いなくちょうどお互いの良さを打ち消しあってるいるように感じた。しょっぱさしか感じない上で味を感じないってどういうこと?
ということで結論はパン粉からギリギリでパンは作れる、ということでした。覆水は盆に一定量返るようです。
最後に、なんか味的にパンっぽさがなかったので「パン粉って本当に実際のパンから作られるのだろうか。もしかして製造工程においては実は最初からパン粉自体を作っているのではないだろうか。」と思って調べてみました。
………パン粉って本当にパンから出来てるんだ。
暇つぶし評価
【最大評価★5つ】
時間つぶせる度:★★★
楽しさ:★★★
実用性:★★
費用の掛からなさ:★★★
おすすめ度:★★★
おわり